日本書紀研究会


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2015年の例会

1月例会:2015年1月22日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 3階視聴覚室
発表者:上遠野浩一氏「七世紀の開発」

2月例会:2015年2月26日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:生田敦司氏「『日本書紀』にみえる春日県主について」

3月例会:2015年3月26日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:田中 勝氏「『日本書紀』の誤読と誤訓―α群の意図的曖昧表現(諷歌倒語)―」

4月例会:2015年4月23日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:神崎 勝氏「『日本書紀』の信憑性について」

5月例会:2015年5月28日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:谷川清隆氏「『書紀』の区分と官位」

6月例会:2015年6月25日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:鮫島 彰氏「粟田真人帰朝報告の再検討と国書問題」

7月例会:2015年7月23日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:中村 修氏「中九州における直弧文受容過程」

8月例会:2015年8月30日(日) 10:00~17:00/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:
・西川寿勝氏「継体天皇の大和入りの反対勢力を考える―狐井城山古墳の被葬者像」
・水谷千秋氏「五世紀の王位継承について」
・長谷部寿彦氏「律令国家形成期の天皇とミカド」

9月例会:2015年9月24日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:塚口義信氏「丹波の首長層の動向と大和政権の内部抗争」

10月例会:2015年10月22日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:渡里恒信氏「三重采女をめぐって―重層する物語と歴史―」

11月例会:2015年11月26日(木) 18:30~21:00/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
発表者:生田敦司氏「『日本書紀』の記載と気候変動」
発表概要: 近年、世界中で急速に進んだ高時空間分解能の古気候復元の研究が進んでいる。 その中で、酸素同位体測定による気候変動調査によって、 数年~数十年にわたる干ばつや洪水の可能性が高い精度で指摘できるようになった。 この成果を援用して、『日本書紀』の記事解釈において再評価の可能性を考察する。

12月例会:2015年12月24日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 第4会議室
洛陽発見三角縁神獣鏡実見報告会(10:30~12:00)/報告:西川寿勝氏
報告要旨: 2014年12月、洛陽発見とされる三角縁神獣鏡について『中原文物』(河南博物院主編) に論文発表されました。 論文には詳細な写真が掲載されており、 日本出土の三角縁神獣鏡と多くの点での共通点が指摘されました。 ただし、発掘調査による資料ではなく、公表後は真偽を含め、大きな議論となりました。 今回、発表者は11月25日に洛陽鏡を実見、詳細な写真撮影・断面実測を行いました。 その結果、写真などではわからない新たな知見を得ました。 日本人研究者として初めての実見です。 外縁・外区・鈕・乳などのキサゲ(切削・砥ぎ)・研磨・鋳放しの状況が 日本出土の第Ⅰ、第Ⅱ段階の三角縁神獣鏡と多くの点で共通することを確認しました。 また、強い面反りの特徴についても、日本出土の三角縁神獣鏡と共通します。 以上より、洛陽鏡は三角縁神獣鏡工人による製作である可能性が極めて大きいという結論を得ました。 その他、洛陽鏡の鏡面は中原の出土鏡特有の硬い赤サビ(第二酸化銅)に覆われ、 わが国出土鏡や華中地域などの出土鏡と分別できるものでした。 また、洛陽鏡は二つに割れており、有機溶剤などで接着・補修されていました。 これらの特徴は、従前に日本で出土したものが中国に持ち込まれたものではありえず、 近年洛陽で出土した伝を何ら否定する要素ではありません。

例会之部(午後1時~5時)
・西川寿勝氏「『日本書紀』の気候変動記事とその信憑性」
・平林章仁氏「兄妹相姦へのおそれ」

2014年の例会

1月例会:2014年1月23日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:中村修氏「乙訓の古山陰道」及び「玉手より祭り来たる酒解神」

2月例会:2014年2月27日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:上遠野浩一氏「南河内の開発」

3月例会:2014年3月27日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:亀井輝一郎氏「大宰府と宗像」

4月例会:2014年4月24日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:水谷千秋氏「不改常典と『日本書紀』の思想」

5月例会:2014年5月22日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:西川寿勝氏「蘇我氏の墓域に関する諸問題」

6月例会:2014年6月26日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:中村 修氏「六甲山と向日神」

7月例会:2014年7月24日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:西川寿勝氏「渡来人と半島の鉄―五~七世紀の動向―」
発表概要:八月合宿では遺跡・遺物から秦氏の動向を説明予定です。 七月例会ではその説明にあたって、ヤマト政権が渡来人や鉄とどうかかわってきたかを追求したく、 多くの方々が誤解されている鍛冶技術の推移などを問題提起したいと思います。

9月例会:2014年9月25日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:生田敦司氏「春日山田皇女の屯倉関係伝承と春日部」

10月例会:2014年10月30日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:中司照世氏「5~6世紀に於ける同一工房銅鈴とその歴史的意義」

11月例会:2014年11月27日(木)/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:内田正俊氏「天武・持統・文武期の疎遠な皇親」

12月例会:2014年12月25日(木) 13:00~17:00/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:
 ・塚口義信氏「顕宗・武烈天皇の奥津城をめぐって」
 ・神崎勝氏「『日本書紀』の信憑性について」

2013年の例会

1月 休会

2月例会:2013年2月28日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:鮫島 彰氏「古代の摂津『三島』考―ミヤケ・県・古墳―」

3月例会:2013年3月28日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:成清弘和氏「律令における親子規定について」
発表概要:
一、律令における「子」: 律令において「子」は男子のみを指す事例(公的な場合)と、 男女ともに指す事例(私的な場合)とがある。 しかし、『令集解』などの議論では公的な場合でも女子を意味するかのようなものも確認でき、 やや混乱している。→ 古代日本社会では、成人男女と同じように男女子の格差も小さいものであったか。
二、古代日本の親権: 子女売買に関する律の規定などをみる限り、親権は強いものであったと考える可能性がある。 しかし、前近代中国では早くから律で禁止されていたにも拘わらず、 子女売買がかなり長期間にわたり行われていた実態を確認できる。 また、すでに指摘したことだが、古代日本の婚姻では「子」たる男女の自立性が確認できる。 →子女売買という事象は、生産力の未熟、経済的な困窮による普遍的なもので、 古代日本の子女売買は、親権の強さを必ずしも表しているとは言えないのではないか。 また、親権の構成要素としての「教令権」という概念の存在も疑わしい。

4月例会:2013年4月25日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:阪口有美子氏「ツヌガアラシト伝承と赤織絹」
発表概要: 『日本書紀』崇神天皇、垂仁天皇の条には、蘇那曷叱知、都怒我阿羅斯等、 天日槍の渡来伝承がある。また、『古事記』応神天皇段には、表記は異なるが、 天之日矛の伝承が記載されている。 これらの伝承は時期を確定するのは困難であると思われるが、 朝鮮半島と倭国とのかかわりを文字において残した最初の記載である。 それらの渡来伝承の中から、蘇那曷叱知、都怒我阿羅斯等の伝承にある 帰国時に天皇から賜った赤織絹について、祭祀に使用するためのものではないかと、 以下の四点から推測する。
一 『三国遺事』駕洛国記の首露王誕生時の赤い布
二 『日本霊異記』及び越前、若狭の伝承
三 伊勢神宮の神宝
四 石川県中島町の久麻加夫都阿良加志比古神社のお熊甲祭

5月例会:2013年5月23日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:近藤左知子氏「律令制継受以前の后妃制度について」
発表概要: 天皇のキサキには、皇后・妃・夫人・嬪などの呼称があり、 後宮職員令に定員と資格が明記されている。こうした条文は、 大宝令で定められたと考えられるが、『日本書紀』をみると、 律令制以前の后妃に関しても同様の呼称がみられる。 従来の研究では、これらの呼称は過去に遡らせて適用したものであって、 皇后とされている者以外の后妃の間(妃・夫人・嬪など)には序列は存在しないとされていた。 ところが『日本書紀』には『続日本紀』以下五国史や律令格式に用例のない 「元妃」という独自の呼称を確認することができる。 この「元妃」は、従来の解釈では「即位前からの妃」や「もとからの妃」など、 娶られた順序の前後関係を表すために用いられた呼称とされていたが、 個別の事例を検討した結果、 かならずしもすべてに前述の解釈が該当するわけではないことが判明した。 『春秋左氏伝』や『藝文類聚』などの漢籍で「元妃」は「嫡夫人」の意で用いてられており、 『日本書紀』に「元妃」とみえる記述の体裁に注目してみると、 『藝文類聚』を参照して潤色したことがわかった。『日本書紀』の編者は、 「元妃」を「嫡夫人」の意と理解し、 律令制以前にも何らかの形で存在した后妃の序列を「元妃」という呼称を用いて表現し、 他の后妃との差別化をはかったことを明らかにした。

6月例会:2013年6月27日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:長谷部寿彦氏「奈良時代中期の天皇観とミカド」
発表概要: 近年の古代天皇制研究において、奈良時代中期は「天皇の権威化」、 「天皇 制唐風化の画期」が進んだ画期として評価されることが多い。 本報告の目的は、その奈良時代中期の天皇観の歴史的位置づけについて、 ミカドという語句を手がかりにして考えることにある。 周知のように、ミカドという語句は本来、皇居の門を意味していたが、それが転じて皇居そのもの、 やがては天皇そのものを意味するようになってきた。 ミカドという語句が天皇そのものを意味するようになった時期は、 奈良時代中期であったとみられるが、ミカドという語句が、 天皇そのものを意味するようになった背景には、天皇のあり方そのもの変容があるものと想定される。 そこで、本報告では、ミカドという語句が天皇そのものを意味するようになった時期の再検討と、 ミカドが天皇を意味する語句になってくる以前、 天皇の意 味でのミカドに相当するような語句はどのようなものであったのかということを検討し、 その上でミカドが天皇そのものを意味する語句になったことの背景を考え、 奈良時代中期の天皇観の歴史的位置づけを考えてみたい。

7月例会:2013年7月25日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:中村 修氏「α群β群と記事の偏在性」

8月、合宿:2013年8月24~25日/場所:乙訓地域

9月例会:2013年9月26日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:蘆田東一氏「壬申の乱の政治史的意義」
〈発表後、西川寿勝氏に高島上御殿遺跡の鋳型についての紹介がありました。〉

10月例会:2013年10月24日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:田中 勝氏「『日本書紀』α群β群中国人記述説に関する疑問」

11月例会:2013年11月28日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:渡里恒信氏「県犬養橘宿禰美智代の本貫-岸説への一異見-」

12月例会:2013年12月26日(木) 13:00~17:00/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:
・西川寿勝氏「考古学からみた神武東征伝承について」
・神崎勝氏「記紀の成立過程について」

2012年の例会

1月例会:1月26日(木)6:00~9:00/京都府立総合福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:中村修氏「由来の異なる二つの羽束郷」

2月例会:2月23日(木)6:00~9:00/京都府立総合福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:山中鹿次氏「大王位継承に関する再検討」

3月例会:3月22日(木)6:00~9:00/京都府立総合福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:水谷 千秋氏「継体天皇について―考古学的検討を考える―」

4月例会:4月26日(木)6:00~9:00/京都府立総合福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:田中勝氏「王連龍 「百済人《祢軍墓誌》考論」 訳・注・補論」

5月例会:5月24日(木)6:00~9:00/京都府立総合福祉会館 ハートピア京都 3階第3視聴覚室
発表者:塚口義信氏「天武天皇と『古事記』―「未行其事矣の意味するもの」

6月例会:6月21日(木)6:00~9:00/京都府立総合福祉会館 ハートピア京都 4階第4会議室
発表者:上野 誠氏「天智天皇挽歌群と「後宮」」

7月例会:7月26日(木)午後6時~9時/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都3階 第3視聴覚室
発表者:西川寿勝氏「前期難波宮の天武朝付加説を再考する」
発表内容: 今年3/11と6/30の長山雅一先生(大阪文化財研究所長)との討論を中心に 前期難波宮の造営年代が孝徳期に遡らないという考古学成果を解説します。 そして、直木先生の天武朝付加説を再考し、 斉明期に前期難波宮がどのように使われたのかなども推定します。 同様の年代論は白石太一郎先生(近つ博物館館長)と中尾芳治先生(帝塚山大学)との討論でも話題となり、 白石先生は6月の都城制研究会で宮殿整地土は660年代以降と表明(斉明期の土器が含まれる)、 大きな議論となりつつあります。

9月例会:2012年9月27日(木)午後6時30分~9時/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都 4階 第4会議室
発表者:上遠野浩一氏「摂津の古道・三嶋路」
発表内容: 三嶋路とは『続日本紀』と『三代実録』にみえる三嶋路・三嶋道のことで、 山崎から北摂丘陵の裾を走る古代山陽道のことであるが、 これと難波京とを結ぶ道筋の復原を行う。 その際、8世紀頃の淀川河口部の景観を復原し、 そこに難波京から垂水にいたる直線道が存在していたこと、 また垂水から吹田市七尾を経て茨木市郡・郡山方面に延びる道があったこと、 郡山付近で山陽道と合流したことをを、条里や小字名とも関連させて論じる。

10月例会:2012年11月1日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都3階 視聴覚室
発表者:中村 修氏「乙訓(弟国)と土師氏」
発表内容: 奈良盆地の巨大古墳に目を奪われて気づきにくいのですが、 古代国家形成史における淀川水系の問題は極めて重要です。 同水系に注目する時にも、長岡京遷都の華やかさが目立つのですが、 それ以前の古墳時代の乙訓地域の重要性について、 今回は、土師氏を取り上げて、発表します。
この乙訓の連綿とした歴史は、考古資料・文献史料・ 歴史地理資料の宝庫です。

11月例会:2012年11月1日(木)午後6時30分~9時/ 京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都3階 第3会議室
発表者:谷川清隆氏「『日本書紀』成立に関する一私論」

12月例会:2012年12月27日(木)午後1時~5時/京都府立総合社会福祉会館 ハートピア京都
発表者:平林章仁氏「逆葺攷―黒木・青草・逆葺―」
発表概要: 『万葉集』巻第八には冬雜謌として、次の二首が載る。 「太上天皇御製謌一首 はだすすき尾花逆葺き黒木もち造れる室は萬代までに(一六三七) (波太須珠寸 尾花逆葺 黒木用 造有室者 迄萬代)」 「天皇御製謌一首 あをによし奈良の山なる黒木もち造れる室は座せど飽かぬかも(一六三八)  (青丹吉 奈良乃山有 黒木用 造有室者 雖居座不飽可聞)  右聞之、御在左大臣長屋王佐保宅肆宴御製。」
また、『儀式』巻第二 践祚大嘗祭儀上では、斎郡斎場の八殿舎の仕様について、 以下のように規定する。「・使政所屋: 葺蔀同宿屋…」「・抜穂使宿屋: 葺以青草…」 「・五間屋(稲実公物部男宿屋): 葺蔀以青草…」「・造酒童女宿屋: 葺蔀以青草…」 「・高萱御倉:葺蔀以青草…」「・稲実殿: 葺蔀以青草戸亦用草…」 「・物部女等宿屋: 葺蔀以青草…」「・八神殿(八間八神殿):為片廂葺以青草…」 「並以黒木搆作倒葺」。
在京の北野斎場についても、「神坐殿(八間神座殿)者搆以黒木用萱倒葺内搆?棚敷席其上更亦敷?」 とある。
加えて『儀式』巻第三 践祚大嘗祭儀中には、大嘗宮悠紀院・主基院正殿について、 「五間正殿一宇…搆以黒木葺以青草其上以黒木為町形以黒葛結之」と定める。 これらの史料に散見される黒木・青草・逆葺(倒葺)に建物を特別に設えたことの、 儀礼的、宗教的意味と目的について、古代社会における世界観から解明を試みる。

発表者:荊木美行氏「多賀城碑小考-「靺鞨国」をめぐって-」
発表概要: 多賀城碑は、宮城県多賀城市大字市川に現存する古碑で、 藤原恵美朝狩が天平宝字6年に多賀城を修造したことを顕彰する記念碑であったと考えられる。 ところが、この碑については明治以来、偽作説が絶えなかった。 すなわち、碑文の内容や、碑形・書体などに天平宝字六年のものとしては疑わしい点があることから、 江戸時代に捏造されたという偽作説が根強く唱えられてきたのである。 しかし、その後、碑の綿密な調査・検討がおこなわれ、 それとあわせて多賀城蹟そのものの発掘調査が進むにつれ、 むしろ、真作説が有力になり、やがて平成11年には重要文化財に指定されるまでに至った。 さらに、碑文の内容そのものについての考察も進み、 平川南氏は、古来、疑問や矛盾があると指摘されてきた碑文の記述をあらためて検証し、 「従来、偽作の重要な論拠であった里程・国号・官位などに対する疑問は以上の考察で、 ある程度氷解した」と総括している。 平川氏の研究は、碑文の内容に対する疑念を払拭するうえで多いに効果があった。 ただ、氏の考察をもってしても、なお解釈のむつかしい記述が碑文にはある。 それは、「靺鞨国」の解釈と「従四位上」という藤原恵美朝狩の位階の2点である。 本発表では、この2点を取り上げているが、卑見によれば、位階については、 建碑の天平宝字6年12月1日以前に、 参議補任とともに従四位上への昇叙の情報がもたらされており、 それをあらかじめ碑文の刻んだとみる。 つぎに、「靺鞨国」については、中国関係の史料の分析から、 靺鞨国=渤海国と考えてよいことをのべる。

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